手すき和紙製造・販売 紙すきの村〜久保昌太郎和紙工房〜は細川紙はじめ 水墨画 半紙 絵手紙用紙 民芸紙などの和紙を 製造・販売している和紙工房です。


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  レポート2 「再生紙とかずひき」体験

 2007年11月26日、紙すきの村本工房にてワークショップを行いました。

 1、2007年の小川町七夕祭りにおいて使用した七夕飾りの和紙で再生紙を作る。
 2、2007年、1月収穫の楮の黒皮を削る作業(かずひき)。

 今回のワークショップは小川町にある『生活工房「つばさ・游」』さんが主催、飛び入りでの参加者も含む11名でおこないました。それでは以下、今回のワークショップの内容レポートです。
 

1、再生紙づくり
 

 日本における再生紙作りの歴史は古く、奈良時代にはすでに行われていたようです。伝承では時の天皇からの寵愛を受けた女性がその天皇の死後、受け取った手紙を漉き直し、その紙に写経をすることで天皇を弔ったという説もあります。古来、紙は大変貴重なものとして扱われたため、表裏両面を使ったり、再利用したり無駄なく使用された後、つかえなくなった紙を集め、漉き直していました。

 今回の再生紙作りで使用した原料の和紙も、実は再生されるまでにいろいろと利用されていました。ここでは再生紙作りの内容とあわせて、この和紙の循環を紹介します。
 

<原料>
 今回の和紙の原料となった和紙は紙すきの村の工房で「合紙(あいし)」と呼んでいるもので、漉き込み工芸紙という紙を作る際、出来上がった紙と紙の間に挟んで、色移りを防止するための紙です。
 この「合紙」は漉き込み工芸紙の色を吸い、泡の模様を描くため、きれいな模様ができるものもあります。これらの紙は加工を施して、和帳の表紙などに再利用されます。
 一方、模様がきれいではないものも当然できるため、その紙は濃い色の漉き込み工芸紙用の合紙として利用します。この時、濃い色でなければならないのは、合紙の色が工芸紙に逆に移るのを防ぐためです。
 これで、再び合紙に模様が移り、良い模様となれば加工にまわしますが、それでも利用できる模様が出ない場合、漂白の後、一度目の再生紙となり、再び新しい合紙(漉き返しの合紙)となります。
 漉き返しの合紙は新しい合紙と同様に扱われ、利用、再利用、再生を繰り返していきます。
 今回のワークショップで利用した和紙はこのような流れを汲んだ和紙ですが、再利用として、小川町内にある有機野菜食堂わらしべさんの七夕飾りで使いました。

漉き込み工芸紙

合紙 原料となる「吹流し」
 

<再生紙づくりの作業工程>
 
今回の原料七夕祭りの「吹流し」の部分だったので、長細く切ってあります。また、染料の色抜きもせずにそのままの色で、どうなるかやってみました。心配なのは飾りにするときに糊付けしてあったところがうまく砕けるかどうか…とはいえ、やってみないとわからないので、とりあえず叩いてみました。

水につけて…→ 叩いて…→ こ んな状態に…

 今回は少し楽をさせてもらって、打解機という機械を使わせてもらいました。
 量が少なかったのとで10分も叩いていたらすっかりボロボロになってしまいました。この状態で試しに水に入れたところ、きれいに水の中に散っていきました。

 心配だった糊の部分もまったく問題なし!

 それにしても昔の人はこれを手作業でやっていたというから恐れ入ります…。

<紙漉き>
 原料の準備もできたところでいよいよ紙すきです。とはいえ再生紙といっても、紙すきの作業は普通の紙すきと同じなんです。水に原料を溶いて、トロロアオイを入れて、漉いて、重ねる。この繰り返しです。

 ここで、原料を溶いている際にわらしべの山下さんから提案。「完全に原料を散らせずに、少し塊があっても面白いかも…。」と、いうわけで、提案を採用。原料は完全に散らさずに模様入りの和紙にしてみることにしました。
 
 
 こんなちびっ子も手伝ってくれました。

 手伝うというか、この子、ちゃんと教えてもいないのに「水を汲む、揺する、紙を重ねる」の一連の作業をすぐに覚えてしまいました!正直、びっくりしました…スゴイですね…。初めての場合は手を添えていてもできない人がほとんどなのに…。

 そんなわけで、普段はそばについてあげなければ行けないはずなのですが、自由に紙すきをさせてみました。
 

 
少し紙の表面がでこぼこしているのですが、これが完全に散りきらせなかった原料で、模様になっています。
 吹流し自体が何色かあったので、すき上がった紙もその色の模様が入っていると思います。

 どんなふうに干し上がるか楽しみですねぇ…。

<紙干し>
 

 できあがった紙を圧搾(水を絞る)して、干していきます。幸い、この日は天気もよく、天日乾燥には最高の条件でした。もちろん、紙干しも参加者の皆でやりました 。

<完成>

 天気が良かったので、1時間ちょっとで乾き切ってしまいました。そして、できあがった紙がこちら!
 この紙を透かしてみると…左写真のような雰囲気です。荒く叩いたおかげで、紙の切れ端が模様になっています。はさみで切ったのではなく、叩き、自然にちぎれた切れ端なので、柔らかい模様なんですね。

 

2、かずひき
   再生紙づくりが和紙が「生まれ変わる」ことだとしたら、この「かずひき」は新たな紙を「生み出す」ための第一歩ともいえる作業です。

 和紙の原料となる「楮」の木の皮は外側から「黒皮」、「甘皮」、「白皮」によってできています。このうち、良い繊維を含み、和紙の主原料となるのは「白皮」の部分です。そのため、作る和紙によっては「黒皮」、「甘皮」を削りとることが必要になります。この作業を「かずひき」といいます。
 今回は黒皮のみを削り、「ナゼ皮楮」と呼ばれる原料にしました。
 

 写真のひらひらした茶色がかった部分が黒皮です。今回はこの黒皮を専用の包丁(かずひき包丁)で削り落としていきます。

@楮を水に浸す
 
楮は保存するために乾燥させてあるので、作業の前に楮を水に浸しておきます。今回は時間の都合もあって一晩付けてしまいましたが、もう少し短くてもいいようです。

Aカズもみ
 
浸して柔らかくなった楮を水から引き上げて足で踏み、黒皮を揉み落とし、水ですすぎます。この作業を作業を何回か繰り返すことによって黒皮を粗く落とし、その後の作業をやりやすくします。(今ではめったにやらない作業ですが…写真を撮るのを忘れてしまいました。)

B、かずひき
 
カズもみの済んだ楮を一本一本包丁で削り、黒皮を落としていきます。
 原料が枯れていたのと、黒皮のままで使ってもいいような良くない楮も選り分けずにやってしまったのでなかなか苦労しました…。

     
 かずひきをするわらしべのシェフ。流石に包丁なれしてらっしゃいますね。そして几帳面。性格の出る仕事かもしれません…
 
     

←こちらがかずひきの済んだ「ナゼ皮楮」

 今見えているのが緑色の「甘皮」、この下に肉厚の「白皮」があります。

 この原料で作られた未晒しの紙は光沢のある茶色っぽい色をしていて、非常に丈夫です。特に「甘皮」を含む紙は水に強いと言われていて、江戸時代には商人の記録台帳(大福帳)に使われていました。これは、火事の多かった江戸では、火災の際、この台帳が燃えないように井戸に放り込んだためだそうです。

 

 

 今回、大勢の参加者に来ていただいて「再生紙作り」と「かずひき」をおこなったわけですが、実は私自身、これらの作業は数えるくらいしかやったことがありません。

 その大きな理由は、小川町が和紙の産地になる過程で「仕事の分業化」が進んだことにあります。つまり、「原料を作る人」、「それを処理する人」、「楮から紙を作る人」、「使用済みの紙を回収し、再生する人」、そして「それらを仲介する問屋」とそれぞれが専門特化したということです。
 この分業化の中で、当工房では楮を主原料とした紙を作る仕事に特化しました。そのため、工房において原料を処理することや、再生紙を作ることは日常的にはなくなりました。

 しかし現在、小川町は産地として縮小しつつあります。特に原料(楮)の栽培、処理はすでに小川町周辺では行われなくなってしまいました。また、和紙に関連するのネットワークの喪失は不要になった和紙の回収を不可能にし、再生紙作りも行えなくなっています。

 今回のワークショップの目的の一つはこの失われ行く技術の保存の意味もあったわけです。先述のとおり、めったにやることのない詐作業で、今回はいろいろと慣れないこともありましたが、今後もこれら技術の保存に努めて行きたいと思っています。

 

 

 

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