和紙を作るための原料として有名な植物が「楮(コウゾ)」、「三椏(ミツマタ)」、「雁皮(ガンピ)」の3種ですが、植物としての特徴が異なるため、出来上がった紙もそれぞれ異なった特徴が出ます。
|
|
楮 こうぞ
|
|
くわ科
品種として、クワ系のもの(アカソ・アオソ)とカジノキ系のもの(タオリ・クロカジ・タカカジ・マカジ)に大別される。品種によって差異はあるものの、年間で3メートルほど成長し、和紙の原料としては1年で育った分を使用。 |
|
繊維 |
繊維長:6〜21mm(平均9.4mm)
繊維幅:10〜30μm |
楮の和紙 |
非常に丈夫で、水に対する伸縮性が少ないため、様々な加工を施すことも可能。通気性にも優れる。 |
用途 |
障子・傘・提灯・大福帳・畳紙・修復・書画 |
産地 |
日本各地。産業としての主な産地は高知県・茨城県。外国産のもので、タイ(ラオス)、中国、パラグアイなど。
*厳密にはタイ産は楮ではなく別の種の植物。 |
|
|
三椏 みつまた
|
|
じんちょうげ科
成長すると枝が3本に分かれることが名前の由来。2〜3年生のものを収穫、和紙の原料とする。また、樹皮に防虫作用もある毒素を含む。 |
|
繊維 |
繊維長:3〜5mm(平均3.5mm)
繊維幅:10〜30μm |
三椏の和紙 |
目の細かい、光沢のある紙になり、書や印刷に向く。粘り気と弾力性があり、シワがよりにくい。 |
用途 |
半紙・印刷 |
産地 |
国内では高知。外国産では中国。 |
|
|
雁皮 がんぴ
|
|
じんちょうげ科
人工栽培が出来ないとされ、野生のものを収穫し使用。春秋の彼岸の頃、山に自生する2mほどの細長い幹から皮を生剥ぎにして原料とする。 |
|
繊維 |
繊維長:3〜5mm(平均3.2mm)
繊維幅:10〜30μm |
雁皮の和紙 |
光沢と目の細かさは三椏に似るが、三椏よりもしまった、丈夫な紙となる。一方でシワになりやすく、水分での収縮も強い。害虫に強く、長期の保存にも向く。 |
用途 |
半紙・箔打紙 |
産地 |
国内では高知。外国産ではフィリピン。
*厳密にはフィリピン雁皮はサラゴという別種。 |
|