紙すきの村は創作活動の素材となる和紙や楮紙、各種配合紙を工房直売で販売しています。

  

 素材としての和紙の店 紙すきの村

 

 トップページ注文方法送料・梱包料免責事項商品の表示方法特定商取引法に基づく表記

用途で探す
    >書道
    >水墨画
    >版画
    >日本画
    >墨彩画
(絵てがみ)
    >凧
    >和傘
    >賞状用紙
    >障子
    >襖・壁紙・表具
    >手芸・クラフト
    >包装紙
種類で探す
  ■平判の和紙
    >国産楮の和紙
    >純楮紙
    >楮紙
(洋紙原料配合)
    >三椏の和紙
    >雁皮の和紙
    >書画用の配合紙
    >チリ入り
 漉き込み模様
    >民芸紙
(無地の染め紙)
    >板干しの和紙
  ■加工した和紙
    >染め紙
    >コンニャク強制紙
    >裏打ち
    >柿渋
    >にじみ止め入り
 ドーサ引き
民芸品
  ■書簡類
    >ハガキ
    >便箋
    >封筒
  ■民芸品・加工品
    >名刺
    >和帳
    >その他加工品
 (畳紙・懐紙など)
■游季紙プロジェクトの概要
 
@生産者としての疑問 「和紙はシックハウス症候群の予防になるのか」
 
 和紙生産者として、当プロジェクト着想以前から、和紙は「シックハウス症候群の予防に効果がある。」 、「健康住宅の素材に和紙を。」という文言で扱われている一方で、和紙製造 時にシックハウス症候群の原因となる薬品の使用があるという矛盾を感じていました。これは薬品使用の無い伝統的な製法の和紙とそうでない和紙の区別なく、すべてが「和紙」と紹介される事の弊害でもあるとも感じていました。

 当工房では、この和紙の現状ついて、「すべての和紙がシックハウス症候群にとって効果のあることなのか」という問題を、興味のある方へ説明を行ってきました。
 


A「生活工房 つばさ・游」さんからの提案「化学薬品を使わない和紙作りを」
 
 そのような折、小川町において活動をされている「生活工房 つばさ・游(現NPO法人 生活工房 つばさ・游)」代表の高橋さんより、「和紙をシックハウス症候群や体の弱った方が安心して過ごせる部屋を作ろう」とのお話を頂きました。

 工房としては、これまで各所に説明したとおり、「すべての和紙がシックハウス症候群に対して有効な手段ではないかも知れない」ということをお話させてもらいました。

 そして、話を進めるうちに、「化学薬品を使わない伝統的な和紙作りの製法であれば、条件にあう和紙となる」ことで一致しました。
 


B伝統的な製法を蘇らせるための課題
 
 この、「伝統的な製法による和紙作り」、製法そのものは文献に残っているため、理論上は難しいものではありませんでした。しかし、様々な理由があって失われた技法であることは確かであり、その再現には課題もありました。

 まず、最初の課題は原料を煮熟(煮る作業)の際に用いる灰の入手でした。かつてはどこの家庭でも薪で煮炊きをしていましたから、簡単に入手できるはずですが、現代においてはその灰を入手することが困難でした。

 そして、生産量と製造コストに合う道具(特に釜)の確保です。現在の工房の生産体制では一度にたくさんの原料を作り、その原料で数百〜数千枚の紙を作ると言う工程でしたが、伝統的な製法での和紙作りではそこまでの枚数を生産することは出来ず、その生産量に見合った釜を調達する必要がありました。

 最後に生産時期です。伝統的な製法では、ネリの保存に使用する消毒液が使用できないため、生産できる期間がネリの収穫から春先までに限定されます。限られた時期でどの程度製造するか、調整をしなければなりませんでした。
 


C製造の可能性について探る
 
 これら課題を踏まえて、実際に伝統的な製法を復活させられるかどうか、検討をしました。

 まず、灰は市販されていることはすぐに突き止められたので、早速試してみました。結果は成分の問題なのか、作り方の問題なのか分かりませんが、煮熟不良(失敗)に終わりました。

 しかし、この件を地域の異業種の方と何気ない雑談の中で話したところ、精肉店で出る自家製スモークの際に灰が出るから使ってみてはどうか、との提案を受けました。そして、試してみたところが見事成功。この結果により、「生産量は少量」、「トロロアオイの薬品処理前の冬季」であれば、化学薬品を使わない和紙の製造が可能であることが分かりました。

 さらに、「精肉店さんで使用する木の種類と同じ、もしくは近い樹種の灰であれば、煮熟は可能ではないか」との推測に至り、生活工房つばさ・游さんより、新たに入手が出来そうな炭焼きの残灰の紹介を受けました。

 こうして、小さい判であればある程度の量の和紙の製造は可能になり、靜水舎(せいすいしゃ)さん施工物件、「風の谷保育園」さんの一部屋に採用していただくこととなりました。
 


D安定した生産体制のために
 
 かくして、化学薬品を使用しない和紙の製造事態は可能とはなったものの、更なる灰の入手ルート確保の問題や、試験用のごく小さい道具での生産か、大量生産用の大きな道具での生産しか出来ないという問題もあり、その生産体制はなかなか確立できませんでした。

 しかし、これら課題を解決してくれたのは、またしても地域の方々の協力でした。

 まず、この方法での生産に適したサイズの釜です。新規に購入となると高額なものでなかなか手が出ない、このためだけに新調するのも難しい、と悩んでいたところ、地元の酒蔵さんより「現在使用していない釜があるので譲っていただける」との申し出がありました。それまで工房にあった試験用の小釜と主生産用の大釜の中間のサイズで、この寸法の釜で処理できる原料の量であれば大判の紙の製造を効率的に出来るものでした。

 そして、灰。化学薬品を使用しないというコンセプトの和紙作りは、先述の保育園での採用以降、まとまった製造はなく、技術保存を目的にした「伝統的な製法の和紙作りのイベント」という形での製造が主でした。転機となったのは、このようなイベントのスタッフとして知り合った地元の方より、「薪ストーブで間伐材を使っていて、炭焼きと同じような灰が出る」とのお話でした。

 こうして、多くの地域の方々のご好意により、効率よく作業できるだけの量の灰と、それに見合った寸法のサイズの釜が手に入り、季節は限定されるものの、安定的に効率よく伝統的な製法での和紙の供給が可能となりました。
 


E素材としての課題と新たな取り組み
 
 こうして生産自体は可能になった一方で、手すきの和紙自体が建築素材として扱いにくいという声や、化学薬品を使用しない和紙は価格が非常に高価であると言う意見も多数ありました。

 そこで、「化学薬品を一切使用しない伝統的な製法」を元に、「必要となる機能性は何か」、「代替手段となるものはないか」、「利用しやすいラインはどこか」を再度検証し、「薬品不使用」を最上位とした複数のラインナップを用意することとしました。また、工房での販売実績があった既存の建材向け加工法と、これらの和紙を組み合わせることで施工のしやすさを提案することを心がけました。

 そして現在、工房ではこれらラインナップに加え、既存の製品についても薬品の使用状況を開示、その除去状況を報告するよう心がけ、和紙が演出する暮らしの空間の創造とシックハウス症候群などの諸問題の改善のための提案を行っています。
 

 

>>>>ご注文方法<<<<

 

 

当サイトは有限会社久保製紙が運営している小川和紙の販売サイトです。
サイト内にある記事・映像・写真の無断転載はお断りしております。
Copyright (C) 2008 有限会社久保製紙. All Rights Reserved

   
►紙すきの村WEBサイトへ◄
inserted by FC2 system