小川町、東秩父村周辺地域では、古来より和紙の生産が盛んであり、小川和紙の名で親しまれ、1300年の歴史を有する。かつては、立地条件より、江戸にもっとも近い和紙の一大産地として栄えた。小川和紙の中で楮のみを使用した「細川紙」の製造技術は、昭和50
年に国から重要無形文化財の指定を受けている。小川和紙は、素朴で温かみがある独特の風合いを持ち、使う人の心を引き付けている。
近年、バブル好景気時、観光を主体とした体験、直売が一時の活況を生んだが、漉屋は減少の一途を辿っている。戦後、800
世帯あった漉屋は、現在、約20 世帯となっており、技術者のほとんどが60〜80
代という状況にある。また、技術者の高齢化、収入の減少や将来の見通しが立たないことにより、後継者を育てられない状況がみられる。さらに近年、安価な外国製の「和紙」が大量に流通し、手漉き和紙のみならず機械製紙業にも大打撃を与えている。
このような課題を抱える中、地域住民の誇り、郷土愛を象徴する小川和紙について、多様な団体が様々な取り組みを行い、継承・保全を図っている。
本計画においては、小川和紙の本質についての議論を行い、和紙継承についての意識啓発・地域の合意形成、和紙文化継承に係る人材育成研修、現在生活における和紙需要の掘り起こし・販売の拡大を行うことで、小川和紙の伝統文化を着実に継承・保全し、また、継承・保全による小川町・東秩父村周辺地域一体となった活性化を行うこと目的とする。 |